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帰宅困難者

地震発生時は品川駅港南口にある免震構造の高層ビル中層階にいました。縦揺れの後に横揺れが来ましたが、免震構造ビル独特のゆっくりとした大きな横揺れでキャスター付きオフィスチェアが勝手に横に動いてしまい、席を立てば何かに手をつかないと軽くよろける位の揺れを初めて経験しました。

グーグル先生によると職場と自宅の距離は20キロと少し。帰宅困難者対策情報センター曰く、災害時は自宅からの距離が10キロ以上あると帰宅困難者が発生し、距離が1キロ加わる毎に一割が脱落(帰宅不能)していき、20キロでは全員脱落すると想定されているそうです。

勤め先では「被災時の徒歩ルートによる帰宅マップ」などの作り込みもしてますが、実際に歩いて帰宅してみないとどんな感じなのか判りませんし、地震発生直後から首都圏の交通網は電車もバスも全て麻痺してますから、家へ帰るなら徒歩しかない訳です。こういう機会もそうそうないし(あったら困りますが)翌日は休みの予定なので、実際に歩いて帰ってみることにしました。

まずは職場のある品川から会社のある東京駅八重洲口まで距離にしておよそ8キロを歩きます。同じ目的の人たちが大勢いて、第一京浜の歩道は人並みで溢れかえってます。朝の通勤風景と違うのは、逆方向に歩く人たちも同じくらいいて道路も大渋滞でクルマも全然動いていない、というトコでしょうか。パニック系映画の避難風景にソックリです。

結局、8キロ歩くのに1時間半強掛かりましたが、歩いている途中で少し事情が変わりました。高校二年生の次女からメールがあって電車通学の生徒は学校へ泊まるらしいのですが、私の徒歩帰宅計画を知ると一緒に帰りたいというので途中でピックアップして一緒に帰ることに。

幸い半蔵門線が折り返し運転を始めたので、娘の学校最寄り駅までは地下鉄で移動できました。学校から自宅までは約13キロですが、新宿線が運転再開したのを知って地下鉄の駅へ。まず改札で入場制限、駅構内は大混雑です。一時間ほど待って三本の電車が来ましたが、一つの扉へ一回に乗れるのがせいぜい3〜4人、要は降りる人と同じ人数しか乗れないほどすし詰め満員な訳です。結局、地下鉄に見切りをつけて歩いて帰ることにしました。

結論から言うと、娘と高校を出てから4時間後の午前二時半過ぎに無事自宅へ辿り着きました。途中で「帰宅困難者受け入れ施設に泊まりなさい」と言っていたカミさんと長女も起きて待っていてくれました。

東京は被災地ではなかったので今回の徒歩帰宅は普段と変わらない街を歩いて帰っただけですが、瓦礫や切れた電線などが道路を塞いでいる状況ならとても同じ時間では帰れないと思いました。それでも娘と二人、いい経験になったことは間違いありません。参考になるか判りませんが、今回の徒歩帰宅で気がついたことをいくつか記しておきます。

食料・飲料(ファミレス・ファストフード)
24時間営業を謳ってる店もほぼ閉店してます。中には、入場制限?で新規入店はダメだけど元から居た客だけは追い出さない(出せない?)、的な店もあるにはありましたが「本日閉店」の張り紙一枚で命運を分けられてる感じで大手チェーン店の印象はめっちゃ悪いっすね。うたた寝してる客とガラス一枚隔てて、かたや帰宅難民。トイレや休憩場所、それに本来の目的である食事の提供など社会的な使命はどうしたんでしょうね?逆に、家族で切り盛りしてる中華料理店とかが深夜まで頑張って客捌いてて好感度高かったっす。

食料・飲料(コンビニ)
道すがらのコンビニでは例外なくパン・弁当の類は売り切れで棚は空っぽでした。しかもかなり早い時間から。飲み物については数があるので何かしら残ってますが、アイソトニック系は売り切れ率高し。

食料・飲料(自動販売機)
停電してなければ街角の自動販売機で買えます。販売機の数も多いので有効かも。

トイレや休憩場所
深夜だとコンビニか公園のトイレですね。何せ店舗が開いてませんから。休憩はバス停の椅子か公園の椅子、いい感じの階段など。意外とベンチとか無いんすよね。

電話(携帯電話)
ドコモですが、発信はほぼ全滅。ネットは人が多い場所は若干不安定ですが使えます。スマホならskypeでしょうね(相手もskype使ってないとダメですが)。ちなみにメールはめっちゃ遅延します(家族当てのメールが二時間後に配信された)。コンビニの携帯充電池は全て売り切れでした。でも地域停電で基地局止まれば全部使えませんけどね。そういう観点だとハンディのアマ無線が最強かも知れませんね。ラジオも付いてるし普段からVX-3持ち歩こうかなあ。

電話(公衆電話)
コンビニとかに行列が出来てました。携帯が繋がりにくい繁華街ほど行列率高いっす。

服装など
ビジネスシューズな革靴だと厳しいでしょうね。私は一晩で靴下に穴があきました。深夜帯はホントに冷え込みます。娘も私もネックウォーマーがあったので幸せになれました。そう言えば膝掛けを腰に巻きながら歩いてる女性もいましたね。ズボン下にパッチ履いてましたが、私は途中で何度か足が吊りました(今日は酷い筋肉痛)。そういうわけで雨や雪だと移動はより困難でしょうね。
あと、ラジオが欲しかったですね。情報入手にはやはり一番かなと。歩きながら携帯のワンセグとか見てらんねーだろ、ってコトで。

スクんちゅブログは、基本バイクのあれやこれやしか書かないポリシーなんですが、こんな記事でも何かの役に立つかも知れないと思い書いてみました。

東日本巨大地震の被災地域の方々には心からのお見舞いと一日も早い復興を願ってやみません。


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by penguin774 | 2011-03-13 02:18 | ヘルス